ヨコハマトリエンナーレ2017 構想会議メンバーからのメッセージ ⑥
―養老孟司(解剖学者、東京大学名誉教授)
0と1の間には「無限」があり、アートは、それを取り扱うものだと思うのです 今の世の中、全ての信号がデジタル化され、そこは、0と1しかない完全な「コピー」の世界です。私は非難しているのではなく、そうなることが、現代社会の必然であったのです。ただ、この流れが世界を動かすようになっていることには、ちょっ...
0と1の間には「無限」があり、アートは、それを取り扱うものだと思うのです 今の世の中、全ての信号がデジタル化され、そこは、0と1しかない完全な「コピー」の世界です。私は非難しているのではなく、そうなることが、現代社会の必然であったのです。ただ、この流れが世界を動かすようになっていることには、ちょっ...
私たちは、適正なサイズの社会に軸足を移す、「地方(じがた)」として自立する必要があります 現在、私たちは、エネルギーや経済の動き、富の分配の仕組みといった生活基盤を、自らの手でコントロールすることが困難になっています。この濁流から這...
繋がることで「Contamination(混こう)」されて、強さを得るのです 「島と星座とガラパゴス」を考える上で、「contamination(混こう)」といことばをご紹介しましょう。私は、これを「他者との関係により自己が変わり続けていくこと」と定義し、変化への抵抗感や孤立した状態を失うことへの恐れに関連...
海は世界を繋げると同時に遮るもの、それが美術や文化を発展させました 星座は、人間が様々な想像力を働かせて作り出したひとつの形です。同時に、海を航海する人々の目印にもなりました。その海に囲まれ、それが障害となった島がガラパゴスです。そこでは、長い歴史の中で様々な生物が独自の進化を遂げました。海は、世界を繋...
アートなら、人種、宗教、価値観の摩擦を、繋げることで和らげることができるのではないか 世界が、今、複雑なコンピュータの配線のようにぐちゃぐちゃに絡み合っているとすると、アートは、その配線を繋ぎ変えたりして他の新しい視点を見せることで、人に新たな発見や刺激を与える。私は、アートには、何かの役割を果たす可能...
アートは、多元性や多様性を取り入れながら私たちを思いかけず感動させ、また対話へと導く 今日、ビエンナーレやトリエンナーレは、数の増加とともに「マルチ・セントリック」になり、目的の多様化、ジャンルもアート以外を横断して扱うようになりました。「島と星座とガラパゴズ」は、アートを通して、日本と世界の関係を考える時...