お知らせ
「第9回横浜トリエンナーレ」アーティスティック・ディレクター
コスミン・コスティナシュ(Cosmin Costinaş)とインティ・ゲレロ(Inti Guerrero)に決定

コスミン・コスティナシュ(Cosmin Costinaş)
キュレーター。著述家。
1982年ルーマニア生まれ。
香港のアートスペース、パラサイトのディレクターを約10年(2011~2022年)務め、2022年7月よりベルリンの世界文化の家(Haus der Kulturen der Welt[HKW]のシニア・キュレーター。2025年末までシニア・キュレーターを務めたのち、キュレトリアル・アドバイザーとして活動を継続する予定。
これまで多くの国際展および文化機関でキュレーションに携わる。第59回ヴェネチア・ビエンナーレ(2022年)のルーマニア館共同キュレーター、ネパールのカトマンズ・トリエンナーレ(2022年)のアーティスティック・ディレクター、バングラデシュのダッカ・アート・サミット’18のゲスト・キュレーター、第10回上海ビエンナーレ(2014年)の共同キュレーター、ユトレヒトの現代美術機関BAK (BAK, basis voor actuele kunst)のキュレーター(2008年~2011年)、ロシアのエカテリンブルグで開催された第1回ウラル工業ビエンナーレ(2010年)、ドクメンタ12(2007年)のドクメンタ・マガジンの共同編集担当キュレーター等を歴任。
世界各地で展覧会を手掛けるほか、アートアワードの審査員なども務める。イギリスの専門誌『ArtReview』が毎年発表する「世界で最も影響力のある100人」に、2020年と2021年の2年連続で選出された。
インティ・ゲレロ(Inti Guerrero)
キュレーター。美術教育者。
1983年コロンビア生まれ。
2011年より香港を拠点に活動しており、現在、香港城市大学修士課程(The Master of Arts in Creative Media[MACM])の客員教授。
フィリピンのマニラとバターンに拠点のあるベラス・アルテス・プロジェクツのアーティスティック・ディレクター(2018年~2021年)、テート(ロンドン)の南米美術部門客員キュレーター(2016年~2021年)、アイルランド・リムリックで開催された第38回エヴァ・インターナショナル(2018年)のチーフ・キュレーターなどを歴任。
これまで、ヨーロッパ、米国、南米、アジアの美術大学で教鞭をとり、講演を行うほか、専門誌に数多くの記事を寄稿している。
ヨコハマトリエンナーレ2020では、アーティスティック・ディレクターのラクス・メディア・コレクティブのディレクションのもと、横浜美術館会場にて企画展示「エピソード04『熱帯と銀河のための研究所』」のキュレーションを担当した。
共同キュレーションの実績
第24回シドニー・ビエンナーレ(2024年)の共同アーティスティック・ディレクターを務め、西洋の悲観的な終末論に対し、集団的な抵抗、喜び、希望に満ちた展望をもって乗り越えようとするキュレーションが高く評価された。ほか、セネガルのダカールビエンナーレ2018のゲスト・キュレーターをはじめ、香港、台北、ソウル、サンフランシスコ、マニラ、クアラルンプール、バンコクなどでも展覧会の共同キュレーションの実績がある。
アーティスティック・ディレクターの選考にあたって
神谷 幸江
第9回横浜トリエンナーレ アーティスティック・ディレクター選考委員会 委員長
国立新美術館 学芸課長
2027年に開催する第9回横浜トリエンナーレは、グローバル時代の代名詞として、各地で開催されてきた国際展の新たな在り方を目指しています。総合ディレクター・蔵屋美香(横浜美術館館長)は「世界のたくさんの地域との対話をサステイナブルな方法で組織する」方針を提唱し、これを踏まえてアーティスティック・ディレクターの選考がスタートしました。まず国内外の推薦委員13組から22組の多様な経歴を持つ候補者の推薦を受け、私たち6名の選考委員が二段階にわたる選考を行いました。第1次審査で候補者を3組まで絞り込み、次に候補者たちを横浜に招聘、舞台となる横浜、その歴史、ポテンシャルにあふれたリソースを調査してもらい、具体的な企画を提案してもらいました。そうして描かれたプランを元に面談、ディスカッションによって最終選考を行いました。
最終候補者はいずれも国外の出身で 、数々の国際展を実現した実績、また現代社会と歴史とを再考しながら同時代の美術について言葉を尽くす経験にあふれていました。彼らとの未来のトリエンナーレの姿についての論議を経て、私たちはコンセプトにおいて、その視覚化において、特に創造的な提案に満ちたコスミン・コスティナシュ&インティ・ゲレロの二人組を次回横浜トリエンナーレを牽引するアーティスティック・ディレクターに選出しました。
彼らは「国際展は本質的にローカルなもの」と語っています。文化的企画を生み出し継続するために、ローカルな文脈の中で機能し、受け入れられることの必要性を十分に認識し、横浜の持つ交流の歴史に深い関心を寄せ、この地が築いてきた文化の生態系に関わる意気込みを持っています。ローカルなリアリティ、同時代の課題をゆっくりと考える、新たな横浜トリエンナーレの姿を彼らは想像させてくれました。思いがけない勢いで、つながっていた世界を分断する力が現れている中で、サステイナブルにつながることの実践が生まれていくことを心から期待しています。
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第9回横浜トリエンナーレ アーティスティック・ディレクター選考委員会 委員 ※敬称略 神谷 幸江(委員長) 国立新美術館 学芸課長 |