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総合ディレクター水沢勉より会期終了にあたってのメッセージ

  展覧会という形式は、限られた時空で、消え去ってしまいます。時間の亀裂をテー マとして本展は、そのほんらいの主旨からして、パフォーマンスを強調し、全体とし て通常の展覧会以上に一過性という性格をつよく帯びたものでした。多種多様なパ フォーマンス・プログラムが彩ではなく、その本体に組み込まれていたので、運営す る側も、見る側もとても緊張感を要求されるものでした。全会期にわたって「作品」 として持続するパフォーマンスも、無謀ともいうべき試みでしたが、なんとか維持す ることができました。これも観衆の方々も含めて、すべてのひとの理解と支えによっ て成立したのだと思います。感謝にたえません。どうもありがとうございました。 「瓶のなかの手紙」に詩人パウル・ツェランは自作全体を譬えました。この展覧会も いつか、これからも無数の傷を負うであろう時空を越えて、メッセージを伝えてくれ ることを願ってやみません。

2008年12月 水沢勉