横浜トリエンナーレ2008ブログ: 2008年12月アーカイブ

総合ディレクター・水沢さんからのメッセージ

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展覧会終了にあたって、水沢ディレクターからメッセージをいただきました。

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展覧会という形式は、限られた時空で、消え去ってしまいます。

時間の亀裂をテーマとして本展は、そのほんらいの主旨からして、パフォーマンスを強調し、

全体として通常の展覧会以上に一過性という性格をつよく帯びたものでした。

多種多様なパフォーマンス・プログラムが彩ではなく、その本体に組み込まれていたので、

運営する側も、見る側もとても緊張感を要求されるものでした。

全会期にわたって「作品」として持続するパフォーマンスも、無謀ともいうべき試みでしたが、

なんとか維持することができました。これも観衆の方々も含めて、すべてのひとの理解と

支えによって成立したのだと思います。感謝にたえません。

どうもありがとうございました。

「瓶のなかの手紙」に詩人パウル・ツェランは自作全体を譬えました。

この展覧会もいつか、これからも無数の傷を負うであろう時空を越えて、

メッセージを伝えてくれることを願ってやみません。                    
                                       

                                     2008年12月 水沢勉

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An exhibition is an evanescent and limited form of time and space.

 Based on the theme 'Time Crevasse,' Yokohama Triennale 2008 emphasized performance art,

and the nature of the entire exhibition proved to be more transient and ephemeral than in the past.

Various performance programs were deeply integrated into the exhibition, not just highlighting it,

and so a great deal of tension was required on the part of both organizers and viewers.

I must say it was quite a daring attempt to sustain performances as 'artworks' for the entire duration

of the exhibition, but, thankfully, we were able to maintain them. Such an accomplishment is large

 due to the understanding and support of every person involved, including the audience.

I would like to express my deepest gratitude, although I cannot thank everybody enough.

Just as poet Paul Celan spoke of poetry as 'a letter in a bottle,' my wish is that this exhibition

 will someday transcend time and space with inevitable numerous wounds to deliver its message.
                                                                                                           

                                                                                       2008.12  Mizusawa Tsutomu

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おすすめ展覧会!

トリエンナーレも終わり、一週間が過ぎました。会場では撤収作業ももう終盤です。

展示は終わってしまいましたが、まだまだ2008年面白い展示がたくさんあります。
トリエンナーレをきっかけにいろんな国内外のアーティストに興味を持っていただければ・・・
と参加いただいたアーティストの展覧会、公演を今回の展示作品を振り返りながらご紹介!

まず、新港ピアと赤レンガの2か所で展示していた、シルパ・グプタ。
下の新港の展示はアエラでも取り上げられました。大きくて気持ちのよい空間。

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シルパ・グプタ    見ざる、聞かざる、言わざる 2008年  写真 : 上野 則宏  

そして日本郵船海岸通倉庫にて展示、驚きのパフォーマンスを見せてくれた、
ニキル・チョプラ。2人が参加している展覧会が六本木・森美術館で開催中。
日本で開催されるインドの現代美術展としては過去最大規模!!!!
■「チャロー!インディア:インド美術の新時代」 森美術館 2009年3月15日(日)まで
トリエンナーレとはまた違う表情が見れるかもしれません。

大人も子供もシャボン玉を目の前にして大喜び!だった
大巻 伸嗣さんの作品、「メモリアル・リバース」。
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なんと、また、21日岐阜市の長良川にて、日比野克彦さんの
プロジェクトに参加するそう。岐阜県の方、ぜひ!
また、水戸のグループ展も好評のようです。
■「日常の喜び」 水戸芸術館現代美術ギャラリー2009年1月18日まで
都内では青山スパイラルホールの玄関のデコレーションもされたとか。


まさに圧巻!の一言だった勅使川原三郎さんのパフォーマンス。
ガラスで敷き詰められた、緊張感のある空間を
日本郵船海岸通倉庫(NYK)でつくりだしてくださいました。

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勅使川原三郎 「時間の破片―Fragments of Time」 2008   写真:坂田峰夫
勅使川さん率いるKARASの身体実験劇場が今週の木曜日から両国で!
■身体実験劇場「ない男」 東京両国・シアターX 12月11日(木)-14日(日) 14:00   
佐東利穂子さんも出演されます。


そして、トリエンナーレビジュアルの写真シリーズ2作目を撮影いただいた
鈴木心さんの写真集「写真」の発売&展覧会が。
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マイケル・エルムグリーン & インガー・ドラッグセット   "Catch Me Should I Fall"  写真:鈴木心
写真集、HPのデザイン、そして出版は今回トリエンナーレも手掛けていただいた
ブルーマークさん!最強のタッグです。
■「写真1」 GALLERY SPEAK FOR 2008年12月5日(金)-12月17日(水)
■「写真2」 (g) 2008年12月5日(金) - 12月17日(水)
■「写真3」 NEWPORT 2008年11月22日(土) - 12月20日(土)

お見逃しなく!

ありがとうございました!

皆様、ご来場ありがとうございました。

79日間で306.633人の方に来ていただきました。

横浜各所で行われた「場踊り」や大巻さんのパフォーマンス、
リングドームでのイベントなどをいれると、
もっとたくさんの方にトリエンナーレに触れていただいたことと
思います。

「日常的な時空間を捨て、鑑賞すると、その中に没入することで
経験できる芸術体験、それが、時間のクレバス(割れ目)。

普通の時空間ではない場所へ行ってしまうということです。

沈潜すれば余韻が残る。

トリエンナーレを通して、今、生まれている作品の奥行き、
深さを感じ取ってもらいたいです。」

と、水沢ディレクターはトリエンナーレ、
またテーマについて話していましたが、
それぞれの「TIME CREVASSE」、
感じ取っていただけましたでしょうか。

さて、たくさんご応募がありました
最終日のオノ・ヨーコさんのレクチャー、《Passages for Light/光の道》。

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内容は、映像鑑賞のあと、 オノさんへの会場からの質疑応答。

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そして、最後はダンス!!

大盛況のうちに終わりました。

 

撮影:坂田峰夫